同大学が箱根駅伝出場を狙えるようになったのは、2011年に現在の徳本一善監督がコーチに就任してからである。翌年に監督となり、2014年に予選会19位、2019年は12位と箱根に少しずつ近づいた。徳本監督が指揮をとって10年目となる今回、箱根駅伝出場の夢をかなえることができた。大学開学から35年目である。

 もともと力のある大学だった。最近では優れた選手が集まっており、箱根駅伝で任意参加する関東学生連合チームには、2019年から3年連続で選手を送り出している。

 初出場で10位以内に入ったチームは、1958年の順天堂大以降、現れていない。六十数年ぶりの快挙を見せて、来年、予選会を免除されるシード権獲得を期待したい。

 箱根駅伝出場校には、予備校を起源とする大学がもう一つある。東京国際大だ。

 1951(昭和26)年、上智大教授などを経てGHQで通訳をつとめていた金子泰藏氏が東京都杉並区高円寺に大学受験の私塾、一橋学院を開設した。金子氏は東京商科大(現・一橋大)出身であり、予備校の名前もそれにあやかったと言われている。一橋大や早慶を志望する受験生向けの専門コースを設置し、1980~90年代には多くの受験生を集めた。

 一橋学院は全国展開を考えていたようで、1980年代後半には大宮校、八王子校、横浜校、札幌事務所などを設置している。受験雑誌の広告には「『大学合格』に必要な合理性と科学性をとりいれる」「親身の指導が生んだ抜群の合格実績」などと宣伝されていた(「螢雪時代臨時増刊・全国大学受験年鑑」1989年11月)。

 駿河台大と同系列の駿台予備学校、そして河合塾や代ゼミなど大手予備校との競争では苦戦を強いられることになったが、現在は新宿区高田馬場に校舎を構える。一橋学院は自らをこう紹介している。

「一橋学院は、創学者金子泰藏の『教育こそ社会に奉仕する道』であるとの思いから、1951年に創設された大学受験の名門予備校です。創立70周年を迎えた今日では、親子二代はもちろんのこと、三代で一橋学院に学ぶことも珍しくありません」(同校ウェブサイト)

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