イエリチはマーリンズからブルワーズへ移籍した2018年に打率3割2分6厘、36本塁打、110打点、22盗塁の大活躍。首位打者とナ・リーグMVPを獲得し、翌年も打率3割2分9厘、44本塁打、97打点、30盗塁をマークして2年連続の首位打者に輝いた。そして20年3月、マーリンズ時代に結んだ契約に上乗せする形でブルワーズと契約延長。その結果、9年2億1500万ドル(1年平均で約2400万ドル/約27億8000万円)の超大型契約となった。
一方、「投手・大谷」の評価は難しい。21年の投球内容を見れば投手に専念すればタイトルも狙える能力があるのは確実だが、二刀流ゆえにそのポテンシャルをフルに発揮するのは難しいからだ。30歳前後で年間20試合前後に先発してそれなりの成績が期待できるとなると、相場としては年俸1000万ドル(約11億6000万円)から1200万ドル(約13億9000万円)くらいが妥当だろうか。
以上の「打者・大谷」と「投手・大谷」の契約を単純に合算すれば、その年俸は3400万ドル(約39億4000万円)から3600万ドル(約41億7000万円)という結果になる。これはエンゼルスの至宝、マイク・トラウト外野手が19年3月に結んだ12年4億2650万ドル(約494億2000万円)、1年平均3550万ドル(約41億1000万円)と同等の年俸額だ。
また、先にエース級とは比較にならないとは書いたものの、もし「投手・大谷」を年間30試合に先発する投手たちと同等の評価をしたらどうなるか。今年31歳となる21年のサイ・ヤング賞投手ロビー・レイが今オフにマリナーズと結んだ5年1億1500万ドル(約133憶3000万円)に匹敵する年俸を与えるとすれば、投手としても平均年俸は2300万ドル(約26億7000万円)。投打合計で年俸4700万ドル(約54億5000万円)にも達する計算になる。これは現時点で史上最高額となるシャーザーの平均年俸4300万ドル(約49億8000万円)をも上回る途方もない金額だ。