こうした事情を受け、文科省は20年、法学部等を設置する大学で、通常より1年早く3年で学部を卒業し、その後法科大学院に進む「法曹コース」を新設。奈良さんは「まだ立ち上がったばかりで様子を見る必要がありますが、司法試験合格までの年数を考えると、法曹コースを選ぶのも一つの考え方だと思います」と話す。
「法科大学院選び」で失敗しないためには何に注目するのがよいだろうか。慶應大のような「学び合える環境」は一つの基準になるだろう。その点で特徴があるのが一橋大学法科大学院(以下、一橋大)だ。一橋大は、未修者は20人程度、既修者は65人程度の募集人員という少人数制を特色に打ち出す。教員と学生、または学生同士の距離が近く、学び合いながら伸びていく環境が整っており、21年度の合格率は61.6%の京都大に次いで58.2%という好結果を残している。110人が受験し、64人が合格した。
これとは対照的に、東京大は「自分一人の力で受験勉強に取り組むことのできる学生が集まる」と奈良さんは分析する。約50%が他大学からの進学者だという東京大。在学中に予備試験、そして司法試験に合格する学生も多い。
「実績がある法科大学院には、それだけ合格する可能性が高い人間が集まります。能力のある仲間と切磋琢磨することで、自分のレベルも高まっていくのは間違いありません」
(菅野浩二)