難関国家試験として知られる司法試験。2021年に最多の合格者を出した法科大学院は、慶應義塾大学法科大学院だった。その数125人。一方、法曹で存在感を発揮し続けてきた東京大学法科大学院は、21年に初めて100人を下回った。この数字の背景には何があるのか。司法試験受験の現場を知る識者に聞くとともに、合格者の多い大学ランキングを紹介する。
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弁護士、裁判官、検察官は、それぞれの立場で法に基づき社会正義を追求する。これら「法曹三者」になるには、医師国家試験や公認会計士試験に並ぶ難関国家試験とも言われる司法試験の狭き門をくぐる必要がある。
司法試験を受けるには、大きく分けて二つのルートが存在する。
一つは、法科大学院課程を修了するルートだ。法科大学院は「ロースクール」と呼ばれることもある。司法制度改革の一環として04年に制度が施行された。大学卒業後、法律の専門教育を受けたことがなければ3年間の「未修者コース」、受けたことがあれば2年間の「既修者コース」で学ぶ。修了すると、「法務博士」の専門職学位と司法試験の受験資格が得られる。
法曹へのもう一つの道のりは、司法試験予備試験(以下、予備試験)をクリアするルート。予備試験は年齢、性別、学歴を問わず誰でも受験可能だ。国立大では200万~300万円前後といわれる法科大学院のコストがかけられない人への救済措置として、11年から実施されている。なお、予備試験合格者の21年の司法試験合格率は90%を超えた。
近年は学部時代に予備試験ルートを選び、合格できなかった場合に法科大学院に進んで司法試験をめざすというケースも多い。
■慶應の強みは「学びあえる環境」
法務省が2021年9月に発表した「令和3年司法試験法科大学院等別合格者数等」でトップに立ったのは慶應義塾大学法科大学院(以下、慶應大)だ。125人が合格した。115人の早稲田大学法科大学院、114人の京都大学法科大学院(以下、京都大)、96人の東京大学法科大学院(以下、東京大)を抑えた。慶應大の強みの一つは「学び合える環境」だ。