(AERA 2022年1月24日号より)
(AERA 2022年1月24日号より)

「高分配のもの、増配(毎年、配当を増やす)はやはり人気。つみたてNISAなどでおなじみの全世界株式、米国S&P500、全米株式も一通りそろっています。経費率も普通の投信と比べて低い設定です」

 注意点としては“現在の利回り”だけで選ばないこと。分配金が欲しくて買うのだから、つい高配当を強調した米国ETFに目が行くと思うが、いったん深呼吸してほしい。現在は「SPDRポートフォリオS&P500高配当株式ETF」が分配金利回り約5%でトップだが、現時点で高配当の銘柄は伸びしろが限られている。ちなみにこのETFは昨年、減配を実施して資金が流出中である。

「長期投資なら、今の利回りはそんなに高くなくてもいいのです。たとえば米国初のS&P500のETF、スパイダーが上場したのは93年。当時の価格は45ドル、分配金利回りは2%台でした。現在の株価は約470ドル、利回りは約1.2%。ただ、93年に1万ドル分を買って今も持っていたら、自分が出したお金に対しては11%の利回りになっています。大事なのは今ではなく『自分の出したお金に対して、いくらの分配金か』、加えて『価格自体も上がれば、なおよし』ということ。そういったETFを積み立てて、老後までガチホ(徹底保有)するのがいいでしょう」

■毎月自動で積み立て

 21年12月26日に楽天証券が米国株・米国ETFの自動積み立てサービスを開始。これでネット証券大手3社に積み立て機能がついた。通常の投信と違い毎月の積み立てを完全定額にすることはできないが、今までよりラクに投資できる。普通の低コスト投信で着実に増やしつつ、プラスアルファで米国ETF──悪くない。(金融ジャーナリスト・大西洋平、編集部・中島晶子)

AERA 2022年1月24日号

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中島晶子

中島晶子

ニュース週刊誌「AERA」編集者。アエラ増刊「AERA Money」も担当。投資信託、株、外貨、住宅ローン、保険、税金などマネー関連記事を20年以上編集。NISA、iDeCoは制度開始当初から取材。月刊マネー誌編集部を経て現職

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