会社員の橘ハルさんは05年に投資を始め、20年に資産1億円を達成した。会社員で妻と子がいる。ツイッターで資産運用情報を発信しており、フォロワー数は7万人超。21年11月には『世界一やさしい 米国ETFの教科書1年生』(ソーテック社)を出版している。

「投信の『出口』に関しては、ネット証券で毎月定額を自動的に売却してくれる機能を使いましょう。自分の生活費を把握したうえで、必要な額のみ現金化します。機械的に売られるので迷いも生じにくいのでは」

 毎年、資産全体の4%など一定の“率”で売却していく方法もあるが、こちらはどうか。

「一度に引き出す金額には自分の生活費に合わせて上限を設けたほうがいいと思います。そうしないと、相場が大きく上昇した年は多く引き出しすぎてしまいます。できるだけ市場に長くお金を置いて継続運用を」

 ハルさん本人の資産状況は投信と米国ETFの保有割合が1対5だという。米国ETFとは、米国の株式市場に上場している投信のこと。何かの指数に連動するという仕組みは、普通のインデックス投信と同じ。

「私自身は、米国ETFの分配金が定期的に入るので、基本的に通常の投信には手をつけないつもり。将来、お金が必要になったら売却します」

 このコメントで気になるのは「米国ETFの分配金が定期的に入る」という部分だろう。

(AERA 2022年1月24日号より)
(AERA 2022年1月24日号より)

■元本の取り崩し不要

 投信の場合は、個別株から出る配当が自動的に分配金として再投資されるので、運用効率はいい。米国ETFの分配金は定期的に支払われる。支払い回数は年4回のものが主流だ。つまり「米国ETFなら、元本を取り崩さずに分配金だけ年4回、もらえる」ということ。

「今は低コストなインデックス投信が増え、自動売却もできるので、初心者は普通の投信で運用すればよいと思います。ただ老後に売る自信がない人は米国ETFもアリだと思います」

 米国ETFはSBI証券、マネックス証券、楽天証券で買える(1月13日現在)。いざ取引するときは売買手数料0.495%(税込み)+為替手数料もかかるので、運用コストは通常の投信より割高になる。これは老後の“分配金受け取りマシン”を育てるためのコスト、と割り切るしかない。マネックス証券の岡元兵八郎さんに、売れ筋のETF15本のデータを公開してもらった。

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