大塚医師
大塚医師

 皮膚にはPIEZO2が発現しているために、物が触れたときに感覚として脳に伝わります。PIEZO2は皮膚全体に発現しているわけではなく、特別な細胞だけが持つ分子です。メルケル細胞と呼ばれるものです。皮膚に存在するわずかなメルケル細胞がPIEZO2を発現しており、この細胞を介して私たちは触覚を認知できます。最近の研究で、メルケル細胞のPIEZO2が物理的なかゆみを日常的に抑制していることが報告されました。また年齢とともに皮膚のPIEZO2の発現が低下していくこともわかってきました。

 つまり、年をとると軽く触れただけで起きるかゆみが出現しやすくなるということです。きれいな皮膚をしていても強いかゆみを訴えるご高齢の人は触覚を担当するPIEZO2が減っていることが予想されます。

 現代の医学では、このPIEZO2の発現を減らさないようにしたり、減ったものを増やしたりはできません。いずれ、PIEZO2を増やすような薬が開発されると、かゆみ過敏は治療できるようになるでしょう。

 寒い季節は、まず、かゆみの原因となる乾燥をしっかりと防ぐことが大事です。お風呂上がりに保湿を行い、乾燥によるかゆみが出る前に対処することが必要だと思います。掻(か)き傷がすでについている人は、痕が残る可能性もあるため皮膚科専門医のもとで治療を受けるようにしてください。

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