また初代タイガーがテレビ番組内で自らマスクを脱いだのも印象的だった。84年1月18日にテレビ朝日系「欽ちゃんのどこまでやるの!」にゲスト出演した際、自らマスクを脱いでみせた。83年8月10日に新日本へ契約解除を通告、佐山聡が正体であることは周知だったが驚きに包まれたのは言うまでもない。新日本との契約問題などもあり様々な思いもあったのだろうが、プロレスファンは一様にショックを受けた事件だ。

 最後にスーパー・ストロング・マシン(平田淳嗣)を挙げたい。マシンは2度にわたってプロレス史に残るマスク脱ぎをしている。1度目は86年9月20日・ジャパン(神奈川・相模原)での長州力戦。両者リングアウト後「もう1回やらせろ」とアピールしたところ長州が「もう1回やってやる。でも、その前にマスクを取れ」と返答したため自らマスクを脱いだ。この時の様子は専門誌・週刊プロレスの表紙を飾ったほどだった。そして2度目は94年10月30日・新日本SGタッグ・リーグ戦IV 優勝決定戦(東京・両国)でパートナー蝶野正洋と仲間割れを起こした際のこと。試合後の「こんなしょっぱい試合ですいません!」が世間的には有名となった。

 マスク剥ぎをする側は試合で優位に立ち自らの存在感を高めることができる。自らのアイデンティであるマスクに手をかけられた側は大きな精神的ダメージを受ける。そしてマスクマンの中には自ら脱ぐという禁断のトビラを開ける選手もいる。見ている側からすると正体がわかっていようとも興奮を覚えずにいられない。マスク剥ぎ(脱ぎ)は試合を盛り上げ、場内を熱くするレスラーの技術の1つだ。