(週刊朝日2022年2月4日号より)
(週刊朝日2022年2月4日号より)

 生活援助は、一人暮らしや同居家族に障害があり、家事ができない状況に限り、ケアプランに組み入れれば利用できる。あくまで本人の日常生活での援助が対象で、本人が使わない部屋を含む大掃除や庭の草むしり、窓のガラス拭き、生活必需品以外の買い物などは介護保険の対象外となり、依頼することができない。通院の介助についても、家から病院までが介護保険の対象で、病院内の移動や待ち時間などの付き添いは介護保険サービス外となる。

 だが、例えば「エアコン掃除をしたい」「鉢植えをちょっと動かしたい」「高いところのものをとってほしい」など、介護保険の対象外の範囲でも、日常生活の中で困ることは少なくない。こうした要望をかなえるのが、自費の訪問介護という選択だ。細かなルールや費用などは事業所によっても異なるが、大掃除や窓拭き、通院時の病院内を含む付き添い、旅行や外出の付き添いなど、「やってほしかったけどできなかったこと」をオーダーメイドでかなえることができる。費用は1時間単位の時間制で決められていることが多く、1時間につき2千~3千円前後が目安だ。

 自費の訪問介護サービスも展開している社会福祉法人嘉祥会(東京都)事務局長の彌一勲(ひさしかずひろ)さんが言う。

「介護保険は、最低限の日常生活で必要なことやものが対象で、“生活の質”という視点で考えたとき、介護保険の範囲内だけでは賄えない部分がどうしても出てきます。そうした意味で、介護保険に自費サービスを組み合わせることで、生活の質をぐっと上げることができる。自費の訪問介護はオーダーメイドの内容で、基本的にはどんな要望でも対応できます」

 彌さんの事業所で要望が多い自費サービスは、大掃除と通院介助。大掃除は民間の掃除業者に頼むこともできるが、在宅介護を見据えた部屋の片付け方ができるという意味で、介護事業所に依頼したいという声も聞かれるという。なお、自費サービスは訪問するヘルパーを指名することもできる。

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