看取り士の体制は、契約者1人に対し、看取り士1~2人とボランティアスタッフを含めた10人がつく。1日5時間、月90時間までの付き添いは、看取り士とボランティアスタッフが交代制で行う。最期を迎える本人に対しては「看取り士」であることは伏せ、看護師などと名乗る。現在、看取り士は50~60代の女性が半数以上を占め、看護師や介護福祉士の資格を持っている人が多いという。余命宣告を受けた親を自宅で看取るために、看取り士の資格をとる人も増えているという。
日本看取り士会会長の柴田久美子さんが言う。
「看取り士の派遣は、お金がないと依頼できないサービスと思われることも多いのですが、実際には生活保護世帯の利用もあります。訪問医やケアマネジャーを探すといった相談対応や臨終時の立ち会い、月90時間までのボランティアスタッフによる付き添いのほか、食事を作ったり掃除をしたりと、依頼されたことは基本的に何でもやります」
ただ、死が目前に迫った本人から多い“依頼”というのは、食事や掃除といった日常的なものより、「私はもう死ぬの?」「死ぬってどういうことなの?」と繰り返し質問されるなど、「確かな死生観に寄り添いたい」という思いが強い傾向にあるという。
「落ち着いた姿勢でじっくり寄り添い、『大丈夫ですよ』と明るく励ましながら付き添います。心細くなる終末期に、誰かがそばにいることそのものに安心感を覚える方は多い」(柴田さん)
◆オーダーメイドで希望を実現
こうした看取りを支える“自費サービス”もあれば、もっと広く在宅での日常生活を支える自費サービスもある。
例えば訪問介護の自費サービス。介護保険内の範囲の訪問介護では、主に入浴や排泄介助、食事の介助などの「身体介護」と、本人の居室の掃除やゴミ出し、本人分の食材や、嗜好品以外の日用品の買い物などの「生活援助」、家から病院に通院する際の「通院等乗降介助」の三つが対象となる。身体介護は、同居家族の有無に関わらず、ケアマネジャーが必要だと判断してケアプランに組み入れれば利用できる。