昭和女子大生と駒場東邦中の教室をオンラインで結び、授業が行われた。「初めは不安だったけど、中学生はとてもまじめに、関心を持って参加してくれた」と大学生。今年は全学から公募し、15人のメンバーが集まった(写真:昭和女子大学提供)
昭和女子大生と駒場東邦中の教室をオンラインで結び、授業が行われた。「初めは不安だったけど、中学生はとてもまじめに、関心を持って参加してくれた」と大学生。今年は全学から公募し、15人のメンバーが集まった(写真:昭和女子大学提供)
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 ジェンダー問題を解消していくうえで教育が果たす役割は大きい。教育現場で今、さまざまな取り組みが始まっている。AERA 2022年1月31日号は、東京・世田谷の駒場東邦中学と昭和女子大学の例を取り上げる。

【写真】昭和女子大生とオンラインで授業を行う駒場東邦中の教室

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「女子大生と男子校中学生が一緒に考えるプロジェクト」を行ったのは、東京・世田谷にある駒場東邦中学と昭和女子大学だ。

 同大学現代ビジネス研究所のジェンダー平等を考えるセミナーに、同中学の教員と生徒数人が参加したのがきっかけだった。現代ビジネス研究所の事務局長でグローバルビジネス学部専任講師の小森亜紀子さんに、一緒に何かできないだろうかと相談したのが始まりとなった。

「女子校では性教育やジェンダー教育の機会が増えていますが、男子校ではまだ学ぶ機会が少ないように認識しています」

 と語るのは同中学の担当教員。公民の授業でジェンダーギャップ指数について学ぶなど座学で習うことはあっても、体験的に学ぶ機会は少ないという。

 同中学を始め、トップ大学の合格者ランキングに並ぶような学校には男子校が多い。

「将来、社会で要職に就く子たち。部下を持ったときのことなどを考えると、男子の教育を進めていく必要があると考えています」(同中学担当教員)

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 プロジェクトは昨年2月に第1回を実施。6クラスに分かれた1年生がロングホームルームの時間を使って参加した。今年2月には2回目、来年には3回目を行う予定。3年間のプロジェクトにしたのは「単発の講座として終わらせるのではなく、日常の中での変化を経過観察したいから」(同)。

 大学生側は、小森さんのゼミ生など昭和女子大生21人が参加。オンラインで中学校の各教室と繋ぎ、彼女たちがファシリテーターとなる形で授業が行われた。

「ファーストジェントルマン」「ディズニープリンセスの変遷(へんせん)」の2部構成で担当を分け、各チームの大学生は授業当日に向け連日深夜までZoomを繋いで、資料や原稿、ワークシートを作成。プロジェクトの目的は、「異質な価値観を持つ他者を理解する」ことだが、女子大学生と男子中学生といえば、きょうだいでもいない限り接点が少なく、まさに「異質」な存在でもある。中学生がどんな反応を示しそうか、駒場東邦中の教員からその都度フィードバックをもらい、修正を重ねたという。

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