プロ入り後に大きく変わったのはやはりフィジカル面だ。プロの選手の中ではまだ細身の部類に入るが、上半身も下半身も高校時代と比べると見違えるほど大きくなり、ステップする動きや腕の振りも明らかに力強くなっている。それに伴ってストレートのスピードも先発でありながらアベレージで150キロを超えるまでにアップ。190cmの長身ということもあってボールの角度も素晴らしいものがあり、ストレートに関しては既に球界でも上位のレベルと言えるだろう。課題となるのは変化球だ。カットボールとフォークが中心となるが、良いボールと悪いボールの差がまだ大きい印象を受ける。先発として1年を通じて結果を残すには、頼れる球種を1つでも増やす必要はあるだろう。同期でドラフト4位入団の山本由伸は球界のエースへと成長したが、ポテンシャルの高さでは山崎も決して負けていないだけに、6年目での大ブレイクに期待だ。

 今年のルーキーで下位指名ながら即戦力として期待がかかる投手としてはロッテ5位指名の八木彬を挙げたい。東北福祉大では1年時から主戦として活躍しながらも故障に苦しみ、4年時は春秋ともにリーグ戦登板なしに終わったが、社会人で見事に復活。昨年は選手層の厚い三菱重工Westの中でも抑えに定着すると、チームの日本選手権、都市対抗出場にも大きく貢献した。社会人で一回り以上体が大きくなり、堂々とした体格から投げ込むストレートはコンスタントに150キロを超える。

 決め球のフォークも140キロ台のスピードでブレーキも申し分なく、決め球として使えるボールだ。また本格派のパワーピッチャーながら、コントロールが安定しているというのも魅力だ。完全にリリーフ専門の投手ということと、大学での故障歴から順位は低くなったが、短いイニングであれば早くから一軍の戦力となる可能性は高い。ロッテは若手の有望株こそ多いものの、ブルペン陣は中堅、ベテランが多く、勤続疲労も目立つだけに、1年目からフル回転での活躍を期待したい。(文・西尾典文)

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●プロフィール
西尾典文1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。

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