昨年のプロ野球でブレイクした選手と言えば杉本裕太郎(オリックス)を真っ先に思い浮かべるファンも多いだろう。そんな杉本は2015年のドラフト10位でオリックスに入団しているが、ホームラン王としては史上最も低い順位でのプロ入りである。
【写真】「平成で最もカッコいいバッティングフォーム」はこの選手だ!
またルーキーながらセ・リーグの盗塁王に輝いた中野拓夢(阪神)もドラフト6位と指名順位の低さが話題となった。彼らのようにドラフトの指名順位は低く、プロ入り時の注目度こそ高くなかったものの、今年ブレイクする可能性を秘めた選手についてピックアップして紹介したいと思う。今回は投手編だ。【野手編】はこちら→今季一気にレギュラー奪取も? ドラフト下位指名の「ブレイク候補」たち【野手編】
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昨年は3人のルーキーが大活躍を見せた阪神だが、1年遅れでのブレイクに期待がかかるのが村上頌樹だ。智弁学園では3年春にエースとして選抜高校野球で優勝。東洋大でも早くから主戦として活躍していたが、4年秋に右前腕を故障した影響でドラフトでの順位は5位という低い順位での指名となった。ルーキーイヤーの昨年は一軍での登板は2試合に終わったものの、二軍では10勝1敗、防御率2.23と好成績を残しウエスタンリーグの投手三冠(最多勝、最優秀防御率、最高勝率)に輝く活躍を見せた。村上の持ち味は安定したコントロールと投球術の巧みさである。
左右、高低をしっかりと投げ分けることができ、同じ球種でも微妙に変化をつけるなど、良い意味でそのピッチングはベテランらしい趣がある。特に大きい変化のスローカーブは最近なかなか見ない面白いボールで、ストレートを速く見せるのにも有効だ。球威不足は大学時代からの課題となるが、チーム内には秋山拓巳という速いストレートがなくても勝てる恰好のお手本がいるだけに、村上もそれに続く存在となる可能性は十分にあるだろう。
昨年パ・リーグ優勝のオリックスで大きく開花する兆しを感じるのが山崎颯一郎だ。敦賀気比では2年春から3季連続で甲子園に出場(2年春は登板なし)し、3年春にはエースとして活躍している。しかし当時は体つきがかなり細く、ストレートも140キロ台前半ということもあって、指名順位は6位と高いものではなかった。プロ入り後は3年目の2019年にトミー・ジョン手術を受け、オフには育成契約となったが、順調に回復して昨年からは支配下に復帰。夏場以降はローテーションの一角に定着して2勝をマークすると、日本シリーズでも第4戦の先発を任せられた。