肌の色、ルーツ、家族構成、家庭環境、好き嫌い、得意不得意、体格など、人を構成する要素はさまざまある。ある要素ではマジョリティーに属し、ある要素ではマイノリティーに属する。誰もがどちらにも当てはまる要素を持っていることを、ワークを通して講師は説明した。
「外から見えているのは氷山の一角のようなものでしかなく、どこを見せて、どこを見せないかもその人によって違います。全員が多様な中の一人で、だからこそ自分の中の多様性も、相手の持っている多様性も尊重できるようになってほしい」
と講義を結んだ。
■生の声は届き方が違う
終了後の質疑応答では「NGはないのでなんでも聞いてください」という講師に対して、学生たちから質問が相次いだ。
「カミングアウトするときに基準はある?」
「両親にカミングアウトしたときにもし反対されていたら、どうやって関係を維持した?」
などの質問に、「自分の場合はすごく近い人か、逆にすごく遠い人にしかカミングアウトしていない」「反対の原因が知識不足によるものなら、知ってもらうきっかけを増やすようにする」など、体験談を交えながら真摯に答えていた。
今回初めてReBitの出張授業を導入したという久木元教授は、
「当事者の生の声を聞いてもらう機会を作りたいと以前から思っていました。当事者の方が話すのと私が説明するのとでは、届き方が全く違うと感じます」
と手応えを語った。
ReBitではこうした出張授業を2010年から行っている。「初めは小中高で授業をする機会を見つけるのが難しかった」と振り返るのは事務局長の中島潤さん。多様な性に関する教育の必要性が認識されていなかったからだ。
17年度に初めて高校の教科書に「LGBT」という言葉が記載され、中学校、小学校の教科書にも記載されるように。さらに近年の社会背景が重なり、出張授業の依頼も増加。昨年は小学校から大学、教育委員会、教員向けの研修を含め130件の出張授業/研修を実施した。