ドラフトで指名されるのが1球団平均6人として、プロ野球に入ってくる人は年間に72人しかいない。それだけの素質を持った、選ばれた子たちです。みんな、プロに来る前はお山の大将というか、「俺がやらないとチームは勝てない」くらいに思っているはず。でも、プロに入ってレギュラーを目指すと、あまりのレベルの高さに弱気になったり沈んでしまったりする選手が多い。彼らにプロに入ってくる前の気持ちを思い出させるのが、役目じゃないかな。
「優勝なんか目指しません」と言ったのも、選手の立場からしたら当たり前です。まずはレギュラーを取りにいくことを目指して地道な練習を続けて、シーズンに入ってレギュラーも固まって9月くらいになったときに、レギュラーにいる選手たちが考えるのが、「優勝」です。
監督も同じで、一試合一試合戦って勝ちを積み重ねて、気が付いたら上位にいるとなったら、初めて優勝を目指すんです。
■目指すスコアは4対3
――現役時代はプレーでも、プレー以外でもファンの度肝を抜くパフォーマンスを連発してきた。ただし、それは緻密な準備があってこそ。「新庄監督」はキャンプで何を見せ、どんなチームをつくっていくのか。
新庄:練習はフリー打撃でも紅白戦でも、1死満塁からやらせようと思っています。打つ方はどうやって点を取ろうか考えるし、守る方もどんな打球が来たらどこに投げるか、考えることがたくさんある。集中力が必要で、タッチアップもスクイズもダブルプレーも練習できる。打つ方も守る方も、コーチにとっても、めちゃくちゃいい練習ですよ。
そうやって、おもしろい野球をするチームをつくります。目指すスコアは4-3。ピッチャーには3点はあげてもいいよ、野手は4点取ってあげよう。その気持ちがチームワークにもつながるし、思い切りプレーできる。見るほうも飽きないし。
あとはもう、楽しくいく。テレビでベンチが映ったときに、選手が笑顔で明るく見えるようなね。お客さんは「あぁ楽しそうなチームだな、見に行こうや」ってなると思う。話題になって、もっといい雰囲気になって、それが勝ちにつながっていく。ちょっとしたきっかけなんですよ。