――率いることになる北海道日本ハムファイターズはここ数年、低迷している。パ・リーグで3年連続5位。全国区のスター選手も多くない。復活のカギは。

新庄:今のファイターズは弱いですよね、正直言って。レギュラーは決まっていません。みんな、横一線。シーズン前はほとんどの監督がそう言うんだけど、本当に横一線です。監督として僕がイメージするレギュラーのレベルを超えている選手は、2人。誰かは言わないよ。あとはスタメンや先発ローテを争う選手がたくさんいて、いい意味で迷っています。

 選手は全員、一度は1軍に上げて試合で使います。それと、その日のスタメンは試合直前までわからないようにする。だいたいフリーバッティングの順番はスタメンが先なので、打つ順番が後の方だと、選手は「あ、俺、今日はスタメンじゃないな」とわかるんだけど、僕はそれをしない。順番はいつもバラバラにして、試合の30~40分前にホワイトボードに書き出そうと思って。毎日緊張感を持って球場に来させて、練習する。それが大切だと思います。

 あとは、ピッチャー3人、野手4人のタレントをつくります。成績がいい選手を僕が後押しして、パフォーマンスやらファッションやら、選手の個性をしっかり出せるようにプロデュースしますよ。

 監督がこんなド派手な、やり過ぎだろうくらいの感じだから、ついてきてくれる選手も多少のことは許される。全国区のタレントになるには当然成績も必要だから、それだけのタレントができたら、チームは強くなっています。

■日常の中に野球がある

――現役時代も、監督に就いた今も、追い求めているのは「野球のヒーロー」。何を目指すのか。

新庄:日本のプロ野球を変えたいんです。このチームで、相手チームと戦うということだけじゃなく、みんなを巻き込みたい。ファイターズファンでもほかのどのチームのファンでも、1日の日常の中にプロ野球が存在するようにしたい。そう昔から思っていました。

 それがどういう形なのかはやりながらじゃないとわからないけれど、15年後には新庄剛志の野球が当たり前になっているはず。そのためには、話題をつくってみんなに「この監督楽しいな」と思わせて、結果を出すことかな。それできっと時代が変わる。僕が正解になってくる。そして、今度は若い子が監督になったときに、また違う野球を作り上げていってくれたら、僕は楽しいですね。

(構成/編集部・川口穣)

AERA 2022年1月31日号

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