「ラフティングは昨年7月に再開しており、川下りは2年ぶりにこの7月22日から再スタートを切ります。市内下新町の川下り発船場は観光複合施設『HASSENBA』にリノベーションしました。復興のシンボルになればいいなと思っています」(第三セクター・球磨川くだり)

 一方、人吉市を中心とする人吉盆地は、アニメ化もされている人気コミック『夏目友人帳』の舞台となっている他、家庭ゲーム『まいてつ』、アニメ『レヱル・ロマネスク』の“聖地”も点在。ファンが全国からやってくる。

『レヱル』に実名で登場する人吉駅前のカフェ『亜麻色』の田中治子ママがこう言う。

「新型コロナで半減したお客様が水害でさらに減り、電車は止まったまま。何度もやめようと思いました。でもファンの人たちの『頑張って!』に支えられて今があるんです」

 駅前では昨年7月にオープンしたラーメン店「田舎らーめん」にも注目したい。同店は栗弁当で知られた人吉駅弁やまぐちが経営しているが、クラウドファンディングで開業資金の一部を募った。

「出汁をとるのに本の地鶏『天草大王』のガラを使っている他、素材はほとんど地元産。あえて豚骨ベースでないスッキリした風味に仕上げています。経営は厳しいですが、駅前の灯りを消すわけにはいきません」(店長の永田義勝さん)。

 2年目の夏。被災地の奮闘は続く。

2020年7月の豪雨後の田町菅原天満宮。絵馬の他にかけてあったキャラクターのぬいぐるみ

(高鍬真之)

※週刊朝日オンライン限定記事

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