
「住宅ローンの適用金利が1%未満であれば、実際の利息負担額よりも戻ってくる税金(1%)の方が大きくなります。ローンを借りている側からすれば、順ザヤ(利益が出ている状態)となっていたわけです。この減税制度を制定した当初は、ここまで実勢金利が低下する状況を想定していなかったのでしょう」
こう指摘するのは、ニッセイ基礎研究所金融研究部上席研究員の福本勇樹さんだ。現実には日本銀行が16年からマイナス金利政策を実施したこともあって、変動金利型や固定金利期間選択型の住宅ローンは、控除率の半分以下となる水準まで適用金利が低下。こうした状況を会計検査院が問題視したのだ。(金融ジャーナリスト・大西洋平)
※AERA 2022年2月7日号より抜粋