歌を唄う人たちにも、この手のタイプは昔から多く、かの美空ひばりさんや矢沢永吉さん、中森明菜さんなど、どんなに誇張した物真似も、本人が更新し続ける「らしさ」には適わない。大友康平さんなんか、いつになったらご自身の中で「折り合い」が付くのかハラハラしっ放しです。

 近頃の歌手は、そんな強烈な個性も管理・矯正されている人たちばかりで面白みに欠けますが、そんな中ぶっちぎりでMISIAさんの進化が止まりません。観る度に「MISIAによるMISIAの上書き」が凄まじく、このままどこへ行くのだろうと心配にすらなります。東京五輪での「君が代」もそうでしたが、その歌唱力や表現力も含め、別次元に行き過ぎていて、もはや何を歌っているのか聴き取れないことも多々あります。誰も指摘なさっていないようなので僭越ながら。もうちょっと普通にお歌いになってもよろしいかと。

ミッツ・マングローブ/1975年、横浜市生まれ。慶應義塾大学卒業後、英国留学を経て2000年にドラァグクイーンとしてデビュー。現在「スポーツ酒場~語り亭~」「5時に夢中!」などのテレビ番組に出演中。音楽ユニット「星屑スキャット」としても活動する

週刊朝日  2022年2月11日号

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