ロシア勢が6位までを占めている今季の得点ランキングだが、五輪代表だけに限ると坂本に次ぐ219・24点を出しているのがアリサ・リュウ(アメリカ)だ。スケートカナダとNHK杯では5位、4位と振るわなかったが、9月のネーベルホルントロフィーでは優勝して、アメリカの五輪出場枠プラス1を実現した。シーズンベストはその前哨戦として出場したロンバルディアトロフィーでの得点だが、そこでは回転不足ながらトリプルアクセルに挑戦。ジュニア時代には4回転ルッツとトリプルアクセルを決めているだけに大化けの可能性もある。
さらに、GPシリーズのイタリア大会3位で欧州選手権4位のルナ・ヘンドリックス(ベルギー)も219.05点で追っている。難度の高いジャンプはなくフリーでは順位を落としているがSPの安定感はピカ一で、イタリア大会ではマイア・フロミフ(ロシア)やシェルバコワを抑えて1位、欧州選手権でもワリエワに続く2位と魅せる演技は注目だ。
また自己ベストとシーズンベストはともに200点のひと桁台にとどまっている樋口新葉も、今季はトリプルアクセルに挑戦して可能性を見せ始めている。GPシリーズのフランス大会で3位となり、その1週間前のオーストリア杯ではSPにトリプルアクセルを入れて79.73点の自己ベストを出して80点台が見えてきた。フリーも公認のベストはフランス大会の141.04点だが、全日本では冒頭のトリプルアクセルがステップアウトし、後半には回転不足がありながらも147.12点を獲得。SPではトリプルアクセルに挑戦しなかったために合計は221.78点だったが、「五輪は挑戦の場だから両方にトリプルアクセルを入れる」と明言。坂本に迫る可能性もあり、ダークホース的な存在になりそうだ。(文・折山淑美)