ただ、昨季の世界選手権を制したシェルバコワは今季、トリプルアクセルがないうえにSPでミスが出ての出遅れが目立っている。それでも4回転フリップを冒頭に入れ、基礎点が高くなる後半に3回転ルッツ+3回転ループ、3回転フリップ+オイラー+3回転サルコウを入れて得点源にしているフリーの完成度は高く、1月の欧州選手権では世界歴代2位の168.37点を獲得。SP4位の出遅れを挽回して順位を2位に上げている。
一方、トゥルソワは高い身体能力を生かして、女子初のトーループ、ルッツ、フリップの4回転を成功させた他、複数の連続ジャンプも成功させて数々の記録を作って4回転時代を切り開いてきた選手。今季はSPのトリプルアクセルに加え、フリーでのフリップとサルコウ、トーループ、ルッツの4回転5本。しかも基礎点が1.1倍になる後半に4回転ルッツからの連続ジャンプと3連続ジャンプを持ってくる超高難度構成への挑戦が注目された。
GPシリーズではケガでその構成は実現しなかったが、12月のロシア選手権と1月の欧州選手権ではSPのトリプルアクセルとフリーの4回転4本の構成に挑戦。ともにミスはしているが、ロシア選手権では248.65点を獲得し、シェルバコワを抑えて2位になっている。複数4回転が勝つのか、完成度の高さが勝つのかは北京でも注目だ。
この2人の争いが230点台中盤以上になると苦しくなるが、230点前後になれば日本勢も対抗できる可能性が出てくる。その1番手となるのが坂本花織だ。今季は高難度ジャンプへの挑戦を控え、プログラムの完成度を高めて勝負すると決意。GPシリーズではNHK杯で優勝し、ロシア勢の独占となるかと思われていたGPファイナル進出を果たした(※GPファイナルは新型コロナウイルス拡大の影響を受け中止)。
NHK杯で獲得した得点は223.34点で、五輪出場選手中ではシーズンランキング4位。自己最高得点は21年国別対抗戦でマークした228.07点だが、今季はSPでは基礎点が高くなる後半に連続ジャンプを入れ、フリーでも後半の連続ジャンプの難度を上げていて、得点の上積みができる構成にしている。全日本選手権では非公認ながら自己ベストを更新する234.06点を出しているように、本番での230点台も可能でメダル獲得のチャンスはある。