禁止薬物に陽性反応が出たフィギュアスケート女子、カミラ・ワリエワ(ROC)について、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は14日、五輪への出場を引き続き認める裁定を下した。ワリエワを筆頭に強豪がそろうロシア勢。 女子フィギュアのメダル争いの行方は? スポーツライター折山淑美氏が読み解く。
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過去2大会はロシア勢が優勝している女子フィギュアスケート。平昌五輪後の19~20年シーズンからは4回転やトリプルアクセルを武器にしている新世代の選手たちが世界を席巻し、19年GPファイナルや21年世界選手権はロシアの選手が表彰台を独占と、強さを誇っている。
ロシア・オリンピック委員会(ROC)の名称で出場する北京五輪も、今季のGPシリーズなどの状況を見ると、表彰台を独占するのではないかという見方が強まっている。
その中でも絶対的な金メダル候補とみられているのは、今季シニアデビューのワリエワだ。ジュニア時代から高難度ジャンプを跳んで注目されていたが、平昌五輪後に台頭したロシア女子が4回転を跳ぶ選手とトリプルアクセルを跳ぶ選手で二分されていたのに対し、ワリエワはその両方を跳べる完成型の選手。トリプルアクセルを入れたSPで高得点を獲得すると、フリーではサルコウとトーループ2本、合計3本の4回転を入れ、しかもノーミスの確率も高い。今季のGPシリーズでは初戦のスケートカナダで265.08点を出すと、次のロステレコム杯ではそれを更新して272.71点に。現在世界歴代2位(247.59点)となる得点をアリョーナ・コストルナヤ(ロシア)が19年のGPファイナルで出した時も驚異的という印象だったが、それをはるかに上回る異次元の世界をひとりで歩んでいる状態だ。
1月の欧州選手権(※得点はISU国際スケート連盟の非公認)はフリーで転倒が出て合計は259.06点にとどまったが、SPではロステレコム杯で出した自己最高をさらに3.03点伸ばす90.45点を獲得と、進化を緩めていない。完ぺきな滑りをすればSPで2位に10点以上の差をつけての発進もできるだけに、優勝へ向けて一人旅という形になりそうだ。
それに続いて241.65点の自己ベストを持ち、今季のベストは237.42点のアンナ・シェルバコワと、自己ベストは241.02点で今季ベストは234.36点のアレクサンドラ・トゥルソワが競り合う状況だ。