朝ドラ「おちょやん」でヒロイン杉咲花の少女時代役。その生き生きとした演技で、父親役のトータス松本のイメージはすっかり「このクソ親父ボケカスゥ!」状態に。
今回も見た目はまんま小学生の彼女が、どんどん「妻」であり「母」に見えてくる。
「ちょっと圭介~!」。なんてことないこの呼びかけ。しかしこれは確かに庭掃除をずっとサボっていた夫に、ややイラついた奥さんの声。
「あたし怒ってるんだけど。ちょっと座って」。トーンがさらに一段低くなり、旦那が必ず座らないと面倒なことになる声。
いったい人生何回目なんだ、暖乃マジック! どんどん小学生に叱られたくなる。そして彼女はため息をつく。「世話のやけるコね」。ふーっ。思わず納得しちゃうありがたい説教の数々、なんなら万理華が石田ゆり子よりも年配に見えてくる。
毎回「見えんのよ~」と、あやしげ~な霊視をするカフェのマスター(柳家喬太郎師匠)が出てくるけど、きっと見えているはず。万理華の中に瀬戸内寂聴先生の姿が。
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
※週刊朝日 2022年2月25日号