イラスト/もりいくすお
イラスト/もりいくすお

 こっちが締め切りに喘いでいるのに、ノウノウとしてる弟子どもに頭にきて「お前らも週1で文章を書け」と毎週1千字の宿題を出すようになりました。どこに発表する訳でもないですが、嫌でも話題を探すようになり、それが高座のマクラにもなればと。現に私もこのコラムのネタをどこかの高座で使ったりしていますから。週刊朝日さんにはまず私に書く習慣を与えてくれて感謝なのです。

 コラムをまとめた単行本2冊のうちの第1弾がこの春に文庫化されることになりました。「『解説』はどなたに依頼しましょう?」と担当さん。「……うちの子どもはどうでしょう?」と洒落で振ってみたら「イイですね!」ということになり、今、我が家の高1の長男が文庫の解説文を書くべく過去の私の原稿を読み耽っています。難しい顔したり、ゲラゲラ笑ったり。読んでる文章の質は比べるべくも無いですが、なんだかあのときの私を思い出します。

 週刊朝日さん、ひとつこれからもユルくいきますのでよろしくお願いします。でも、高1の解説文って……。いいのかよ、ま、いいんだろうな。

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。新刊書籍『人生のBGMはラジオがちょうどいい』(双葉社)が発売。ぜひご一読を!

週刊朝日  2022年2月25日号

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春風亭一之輔

春風亭一之輔

春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/落語家。1978年、千葉県生まれ。得意ネタは初天神、粗忽の釘、笠碁、欠伸指南など。趣味は程をわきまえた飲酒、映画・芝居鑑賞、徒歩による散策、喫茶店めぐり、洗濯。この連載をまとめたエッセー集『いちのすけのまくら』『まくらが来りて笛を吹く』『まくらの森の満開の下』(朝日新聞出版)が絶賛発売中。ぜひ!

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