■「転ばなかったら優勝できたかもしれないタイムだった」

 多くのメダル獲得に沸いた今大会だが、最も悲劇的な結末だったと言えるのがスピードスケート女子団体追い抜き(パシュート)だろう。前回王者として臨んだ日本は、高木美帆、高木菜那、佐藤綾乃の3人が予選から一糸乱れぬ滑りを披露し、迎えた決勝戦でも好スタートからカナダをリード。そのまま最終周を迎えたが、最終コーナーで高木菜那がバランスを崩して転倒。レース後、号泣して涙が止まらない高木菜那。その姉の横にそっと腰を下ろす妹。その他のチームメイトたちは笑顔で抱きしめ、肩を抱え、円陣を組んだ。その姿に多くの日本人がテレビの前で“もらい泣き”したシーンとなった。メダルセレモニーでも一度は笑顔を見せながら、直後に再び涙が込み上げた高木菜那。インタビューで「やっぱり最後、転ばなかったら優勝できたかもしれないタイムだったので。やっぱり悔しいです……」と言葉を絞り出した彼女に対しては、SNSを中心に数多くの励ましの声が届けられた。


■「成し遂げることはできなかったけど、やり遂げることはできた」

 スピードスケートでは5種目に出場して、「1500m」で銀、「500m」で銀、「団体追い抜き」で銀、そして「1000m」で金と4つのメダルを獲得した高木美帆の活躍が大いに光ったが、その傍で失意の大会となった“元王者”の小平奈緒の言葉もまた、心に留めておきたいものだった。前回2018年平昌五輪では「500m」で金、「1000m」で銀だった小平は今大会、「500m」で17位に終わり、「1000m」でも10位と振るわず。今年1月の右足首捻挫から調整が狂い本来の力を発揮できなかった。そのレース直後のインタビューで、彼女は目に涙を浮かべながらも気丈に振る舞った。そして、「最後、成し遂げることはできなかったんですけど、しっかりと自分なりにやり遂げることはできたのかなと思っています」と潔く、胸を張ってリンクを後にした。

次のページ
カーリング女子は平昌に続き話題に