「わざわざありがとうございます。喜んでお手伝いさせていただきます」
この一言に、本当に救われました。『医療的ケア児』や『医療機器』という言葉が通じなかったらどう説明しようかと考えていましたが、そんな心配をする必要は全くありませんでした。
■事前に情報を共有する大切さ
そして、この電話の内容をフロントやレストランと共有してもらえたおかげで、到着するとすぐに車を優先スペースに停めるように案内してもらえたり、医療機器が乗ったワゴンを運ぶのを手伝ってもらえたり、夕食時には長女がバギーのまま入れる広い席に案内してもらえたりと、とても快適に過ごすことができました。
特別扱いを望んでいるわけでは決してなく、事前にこうして情報を共有することにより、お互いの距離が縮まることがたくさんあるのです。
私が結婚した当初、夫はまとまった休みを取りづらい生活をしており、旅行をすることはほとんどありませんでした。休もうと思えば休めたのかもしれませんが、そもそも彼は旅行には全く興味がないようでした。それでも私はふたりでいろいろなところに行きたいと願い、ある時に彼が好きな野球のキャンプ地である沖縄に行く提案をしてみました。その計画は大成功で、その年の夏にも再び沖縄を訪れ、初めてシュノーケリングをしました。そして夫が少しずつ旅行の楽しさをわかってくれたように思い喜んだ翌年、双子の娘が生まれました。
■旅行はあきらめるほかない?
来年の夏は家族4人で沖縄かな…とワクワクしましたが、出産後、ひとりに重い障害があることがわかったのです。当時の私には、病気により首が座らない子どもを飛行機に乗せてよいのかもわからず、もう二度と沖縄には行けないような気がしました。(実際にはチャイルドシートの装着などで対応できます)
少しずつ長女の病気を受け入れ始めたはずなのに、障害のある子どもとの生活に慣れていく過程で、今までの『普通』にいろいろと制限がかかるたび、深く傷ついていたように思います。
ところが、長女が3歳になった夏、私の両親がグアム旅行から帰った直後、母が言った何げない一言で、私の考えは大きく変わりました。