(週刊朝日2022年3月4日号より)
(週刊朝日2022年3月4日号より)

 注意すべきは、60歳代前半の特別支給の老齢厚生年金を受給している場合だ。年金を受給しながらこの給付金を受け取ると、最大でそのときの月給(標準報酬月額)の6%分の年金がカットされるので、自分がそれにあてはまるかどうかはチェックしておきたい。

 ただしこの給付金、60歳代前半の雇用が当たり前になり、焦点が60歳代後半に移っているため、段階的に廃止されることが決まっている。まず第1弾は25年度からで、最大支給率が15%から10%に引き下げられる。

 高年齢雇用継続基本給付金は、同じ会社での再雇用だけでなく、別の会社へ転職した場合にも使える。ただし、再就職するまでの間に雇用保険の4番打者である「基本手当」(いわゆる失業保険)を受給しなかったときに限られる。

 基本手当も65歳までもらえる制度だ。4番打者らしく、雇用保険に20年以上加入なら、月給の金額にもよるが、それを日給換算した金額の45~80%程度を職探しをしながら約5カ月(150日間)受給することができる。

 基本手当を受給中に早く再就職先が決まれば、「高年齢再就職給付金」がもらえる。これも新しい会社で減収になった場合にもらえる給付金で、減収の基準や最大15%という支給額は高年齢雇用継続基本給付金と同じだ。違うのはもらえる期間で、基本手当の支給日数が100日以上残っていれば「1年間」、同200日以上なら「2年間」となる。

「加入期間20年で所定給付日数が150日の支給だと、再就職先がかなり早く決まらないと再就職給付金はもらえないことになります。所定給付日数の支給残日数が100日以上なければもらえませんから。しかも2年ははなから無理です。自己都合退職なら基本手当をもらい始めるまでに2カ月の給付制限期間がありますが、定年退職だと給付制限がないのでなおさらです」(同)

 もう一つ、基本手当をもらうと、特別支給の老齢厚生年金は支給停止になることも知っておきたい。60歳代前半は年金と基本手当はどちらか一方の選択なのだ。

 いずれにせよ60歳代前半は基本手当をもらうことができる。基本手当をもらってから再就職した場合は「高年齢再就職給付金」、使わずに再就職したり、今の会社に再雇用されたりした場合は「高年齢雇用継続基本給付金」がもらえると覚えておこう。

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