また、兵庫県では「イカナゴ」を「春告魚」と呼ぶこともあります。
イカナゴは、12月から1月に海底の砂地に産卵し、孵化した稚魚が3月頃に2~3センチになったものを網で捕獲し、醤油や砂糖で甘辛く煮たものが「イカナゴのくぎ煮」です。
阪神間では、3月になると各家庭で代々受け継がれてきたレシピの「くぎ煮」を作ったり、スーパーなどの店頭に並べられたりと、まさに春の風物詩となっています。
筆者の中でも「イカナゴのくぎ煮」は、これだけでご飯を何杯でも食べられる、大好きなご飯のお供ナンバーワンです。
そんなイカナゴですが、ここ数年は極端な不漁となっています。原因は、産卵に適した砂地の減少や、温暖化による水温の上昇など、いろいろな説が言われています。
去年は、筆者も一度も「イカナゴのくぎ煮」を口にすることができませんでした。イカナゴも、ニシンのように幻の「春告魚」となってしまうのでしょうか?
他にも、高知県などでは、春先に黒潮に乗って北上してくる「カツオ」を、また福岡県や愛媛県などでは、踊り食いで有名な「シロウオ」を、東北地方では「サクラマス」を「春告魚」と呼んでいるようです。
余談になりますが、皆さんは「シロウオ(素魚)」と「シラウオ(白魚)」が別の魚ということを知っていますか?
「シロウオ」はハゼ科の魚で、成魚でも体長は4センチ程度です。体が透明で体内が透けて見えます。一方の「シラウオ」はシラウオ科に属し、10センチ程度になります。主に東日本で水揚げされていて、体も真っ白な半透明でとてもきれいです。
「シラウオ」も、今頃が旬の「春告魚」です。
この他にも地方によっては、さまざまな「春告魚」があるようですので、ぜひ皆さんの地域の「春告魚」について教えていただければと思います。
※AERAオンライン限定記事