
エリザベス英女王が「カミラ夫人を王妃にしてほしい」と希望したことが波紋を呼んでいる。チャールズ皇太子の前妻・故ダイアナ妃を慕う国民やウィリアム王子の気持ちは複雑だ。AERA2022年3月7日号の記事を紹介する。
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1952年2月6日に即位したエリザベス女王(95)が、在位70周年を迎えた。父ジョージ6世の逝去に伴い、25歳の若さで女王になった。英王室では、ビクトリア女王(在位63年7カ月)を抜いて最長在位記録であり、世界でも最高年齢の現役国家元首となる。
女王は70年を振り返り、メッセージを発表した。21歳の誕生日に国民に向け「私の人生が長くても短くても、生涯を国民にささげたい」と誓ったことをもう一度確認できてうれしく思う──。国民もまた、女王への感謝と敬愛の気持ちを新たにしたのだった。
■女王の言葉で空気一変
しかし、女王の次の言葉で空気が一変した。
チャールズ皇太子(73)が国王に就くときにはカミラ夫人(74)を「queen consort(クイーン・コンソート=王妃)」にしてほしい、それは「私の心からの願い」である──。
クイーン・コンソートとは多くの場合、略して「クイーン」と呼ばれ、国王と国政を担うことさえ可能な女性ロイヤルの最高ポジションである。
チャールズ皇太子とカミラ夫人が2005年に再婚したとき、皇太子が国王になる際は夫人は王妃ではなく、「princess consort(プリンセス・コンソート=国王夫人)」にとどまると約束したのではなかったか。36歳で亡くなったダイアナ妃の悲劇を国民は忘れるはずはない。皇太子の不倫から始まったのに、ダイアナ妃は離婚に追い込まれ、王室警備が失われた。それが、パパラッチから追われての交通事故死につながっていないか。
カミラ夫人は一時、「英国で最も嫌われている女性」と指弾された。道を歩いていて、待ち構えていた女性らから卵やパンがブーイングとともに投げつけられたこともあった。