廣津留すみれさん(撮影/戸嶋日菜乃)
廣津留すみれさん(撮影/戸嶋日菜乃)
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 米・ハーバード大学とジュリアード音楽院を卒業したバイオリニストの廣津留すみれさん(28)。現在はコンサートなどの音楽活動を行いながら、日本の大学でグローバル人材を育成するための授業も受け持っている。廣津留さんの頭の中を探るべく、どんなふうに音楽や勉強とかかわってきたのかを語ってもらうAERA dot.の新連載。第3回は、中学・高校時代の「勉強のモチベーション」について。

【写真】大学で講義をする廣津留さん

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 2歳の終わりからバイオリンを習っていた廣津留さん。楽器の練習と学校の勉強の両立は、小さいころからの課題だった。

「ごはんや歯磨きと同じくらい、バイオリンは子どものときから生活のごく自然な営みのひとつになっていました。頭の中はいつもバイオリンでいっぱい。学校の成績でいい点をとるよりも、上手に演奏できるほうが自分の中では優先順位が高かったんです。だけど負けず嫌いでもあるので、成績も諦めたくはない。勉強にかける時間はなるべく最小限かつ効率的にしたいと思っていました。

 例えば学校のテストがあるときは、まず教科書を1日何ページ分勉強すれば試験範囲がカバーできるかを、テストまでの日数で割るんです。それに基づいて、日々淡々とノルマをこなしていくというロジカルな作業をしていました。国語と英語は意外と穴埋め問題が多いから、暗記したら勝ちだなと思い、とにかく暗記して。今思えば小学生のころ、親から『勉強しなさい』と言われたことは特になく、どうすれば宿題がうまく進められるかを自分で考えられるようになっていった気がします。家庭学習で身につけた“勉強の仕方”が土台になっているんですね」

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勉強への興味のカギは先生のプレゼン力