現役のプロ野球選手で最も長く不動のレギュラーとしてプレーし続けている選手と言えば坂本勇人(巨人)になるだろう。プロ入り2年目の2008年以降、ショートの定位置を守り続けており、通算1902試合出場という数字は栗山巧(西武)、内川聖一(ヤクルト)、福留孝介(中日)に次いで現役で歴代4位となっている。そしてショートとしての出場1875試合というのは日本プロ野球における歴代最多記録だ。
そんな坂本も今年12月で34歳となり、今後の注目ポイントはいつまでショートを守り続けられるかという点になってくる。内野の中でも最も負担が大きいポジションと言われるだけに、過去の名ショートも晩年は他のポジションへコンバートされたケースも多い。主な歴代の名ショートが、100試合以上ショートの守備についた最後のシーズンの年齢(その年の満年齢)を洗い出してみたところ以下のような結果となった。
■高橋慶彦(元広島など) 32歳:124試合
■野村謙二郎(元広島) 32歳:130試合
■石井琢朗(元横浜など) 37歳:105試合
■宮本慎也(元ヤクルト) 37歳:129試合
■小坂誠(元ロッテなど) 32歳:112試合
■松井稼頭央(元西武など)38歳:123試合
■井端弘和(元中日など) 37歳:140試合
■鳥谷敬(元阪神など) 35歳:118試合
松井の38歳が最高齢で、石井、井端、宮本が37歳でそれに続いている。しかし松井はメジャーでプレーした7年のうち6年は主にセカンドで起用されており、石井もレギュラーをつかんだ当時はサードだった。また井端も35歳からの2年間はセカンドにコンバートされ、宮本も34歳と36歳のシーズンは100試合を下回っている。そういう意味ではショートとして出場し続けた例としては鳥谷の35歳が最高齢と言えそうだ。
そう考えると坂本も35歳あたりが一つの山となりそうだが、懸念される守備力についてあらゆる指標から見てみると気になる点も出てくることは確かだ。レギュラーに定着した2008年から10年連続で400を上回っていたシーズン補殺数は2018年以降減少傾向にある。2018年と2021年は故障で離脱し、2020年はコロナ禍で試合数自体が少なかったという影響はあるものの、ショートとして141試合に出場した2019年でも354補殺にとどまっており、ピーク時と比べると約100も減少している。2014年以降DELTA社が公開しているセイバーメトリクスで守備範囲を示す指標である「RngR」を見ても、2017年から大きく数字が低下していることが分かる。ショートとしてカバーできる守備範囲は全盛期と比べると狭くなっていることは間違いないだろう。