帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
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 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「70代ですべきだったこと」。

*  *  *

【後悔】ポイント
(1)70代を振り返ったとき、後悔していることがある
(2)筋力、体力を強化するのに、年齢は関係ない
(3)70代のときに、それに気づいていたらよかった

 少し前に「70歳が分かれ道」という原稿を書きました(2021年12月10日号)。「ナイス・エイジング」にとって、70歳になってからどう過ごすかが大事だという話です。では、具体的には70代では何をすべきでしょうか。実は私自身の70代を振り返ったときに、後悔していることがひとつあるのです。

 それは、もっと下半身を鍛えればよかったということです。

 60代のころは、下半身に自信がありました。新幹線に乗り遅れそうになって、駅のコンコースを全力で走ることができたのです。それを見かけた人に「先生、すごいですね」と言われて、悦に入っていたのです。

 しかし、70代になって、この脚力が急速に衰えてきたのです。全力で走るなんていうことはできなくなりました。そのとき私は、「まあ、これが歳をとるということだろう。しかたがない」と思ってしまったのです。

 ところが、このあきらめが間違いであることに、80代になって気づいたのです。80歳になってから、下半身の衰えのスピードを少しでも遅らせようと、いろいろ工夫しました。

 そのひとつは、良質なタンパク質を摂ることです。良質なタンパク質といえば、牛肉です。ですから肉を食べるようにしました。

 次に骨の脆弱化を防ぐためにカルシウムを豊富に摂るようにしました。これは、湯豆腐の昆布だしを多めに作ってもらい、ウイスキーのチェイサーがわりに飲むことにしたのです。

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