「ひきこもることは自己防衛でもあるので時に必要ですが、私の場合はこじらせ長引かせ過ぎました。おしゃれや恋愛もして、楽しかったかもしれない一番いい時期をひきこもって過ごしたのですから。生まれ変わったら? 今度はひきこもりたくないですね(笑)」
こうして2012年から当事者活動を始め、14年に当事者団体「ひきこもりUX会議」を立ち上げ代表理事を務める。
今、80代の親が50代のひきこもりの子どもを支える「8050問題」が深刻だが、これからは「9060問題」に移行していくだろうと警鐘を鳴らす。当事者には、あなたは一人じゃない、わかってくれる人は必ずいるので「女子会」など当事者会にアクセスしてほしいという。家族には「家族会」につながってほしい、支援者は当事者と向き合うのではなく横に並んで、と話す。
アルバイトを続けながら、イベントを主催したり、講演で全国を飛び回る。来年度からは支援者向け研修会も始めるという。原動力はどこに?
「怒りです。生きづらい社会がひきこもりを生みだしている、それへの怒りです」
今も多様性が大切と言いながら、異なる意見の人を排除したりしている。そんな社会が息苦しい。目指すのは、
「色々な生き方ができる社会。ひきこもっていても『ああ、そうなんだ』で済む社会です」
と力を込めた。(編集部・野村昌二)
※AERA 2022年3月7日号