クリスティアーノ・ロナウドを擁するポルトガル代表もW杯出場の危機(写真/gettyimages)
クリスティアーノ・ロナウドを擁するポルトガル代表もW杯出場の危機(写真/gettyimages)
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 2022年11月に開幕するカタール・ワールドカップ。世界最高のサッカーの祭典への切符をかけた予選は、いよいよクライマックスに突入。3月末には欧州予選のプレーオフが行われる予定だ(※ウクライナに侵攻を受けロシアは除外)。他、南米や北中米・カリブ海らも全日程を終える。日本代表も、オーストラリアとの重要なアウェイゲームを控えている。

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 だが、ワールドカップ予選に波乱はつきもの。今大会でも、優勝経験を誇る強豪国や世界屈指のスター選手を抱えるあの国まで、敗退の危機に瀕している。今回は、厳しい状況に追いつめられた強豪3カ国を紹介する。

*  *  *

【イタリア】

 フランスが20年ぶり2度目の優勝を飾った2018年のワールドカップ。キリアン・エンバペというニュースターの誕生、勇敢なクロアチアの躍進、前回王者ドイツ衝撃のグループリーグ敗退、VAR初導入など、サッカー史に様々な出来事が刻まれた。日本代表としても、大会直前の監督交代などの騒動を経て、反則ポイントでの決勝トーナメント進出、そしてギリギリまで追い詰めながらも「ロストフの14秒」で散ったあのベルギー戦……。記憶に残る大会であったことは間違いない。

 だが、そこにW杯4度の優勝を誇るイタリアの姿はなかった。2017年11月、スウェーデン相手に2試合で1ゴールも奪えずにプレーオフで敗退。60年ぶりの悲劇にイタリア中がどん底に叩き落された。

 あの悲劇を繰り返してはならない――。その一心で推し進めてきた大改革。若手育成と攻撃的サッカーを志向するロベルト・マンチーニ監督の下、これまでのイメージを払拭するようなボール保持から主導権を握る戦術(これは10年近く前から育成年代で一貫して採用されていた)、セリエA経験のない若手選手の招集など常に刺激をもたらし、若手とベテランが共存する見事なチームを作り上げた。その結果が、EURO2020のあの7試合だ。大会前にアッズーリの優勝を予想したメディアや現地解説者はほとんどいなかったが、内容・結果ともに世界中を“裏切った”躍進劇。欧州制覇後も世界記録となる公式戦37試合無敗達成など、その未来は明るく見えた。マンチーニは3年前の就任直後から「2022年に世界の頂点に立つ」と明言してきたが、それが決して妄言ではないことを実力を持って証明していた。

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まさかの“苦戦”となったイタリア