佐々木朗は2月19日の日本ハム戦では163キロを計測するなど、はっきり言って、ポテンシャルでは球界随一である。相手のエースとの投手戦の中で経験を積ませても乗り越えられるかどうか。逆にカードの2戦目、3戦目の相手投手との兼ね合いで、勝利を積み重ねる中で自信を深めさせられるか。そして石川、小島のモチベーションをどう最大化させるか、そういったことを考えての総合判断だろう。
私が西武監督時代の1999年。鳴り物入りで入団した松坂大輔をどこで使うのかといろいろと考えた。いかにスタートさせるか腐心した。
周囲の「本拠地の開幕カードで」という要望をはねのけ、東京ドームでの日本ハム戦でデビューさせた。大輔のフォームなら傾斜のきつい東京ドームのマウンドが合うと思ったからだ。優勝するために、そして日本球界のために、彼を勝たせて1年目からどう軌道に乗せるかを考えた結果の配置だった。
開幕投手決定の裏にはチームの期待値、事情が複雑に絡む。そういったことを予想するだけでもおもしろいと感じてもらえれば幸いである。
東尾修(ひがしお・おさむ)/1950年生まれ。69年に西鉄ライオンズに入団し、西武時代までライオンズのエースとして活躍。通算251勝247敗23セーブ。与死球165は歴代最多。西武監督時代(95~2001年)に2度リーグ優勝
※週刊朝日 2022年3月18日号