さすが養生家だけあって、江戸時代にしてはみんな長生きです。ちなみに私はこの計算でも86歳です。4人のうち3人の年齢を超えました。来年、佐藤一斎に追いつくのが楽しみです。
私が敬愛する宗教学者の山折哲雄先生は、親鸞の歳を意識していらしたそうです。親鸞は、1173~1263で90歳です。山折先生は1931年生まれで、今年、親鸞の歳を超えました。
佐藤一斎を超えたら、私も親鸞超えを目指そうかと思います(笑)。
私はことさら、長生きしたいわけではありません。以前は、人には死に時があるということを言っていました。しかし、自分がここまで生きてしまうと、どこまでいけるのかやってみようという気になってきたのです。
私の目指すところは「生と死の統合」。つまり、生きながらにして、死の世界に入っていける境地に至りたいと思っているのです。80代も後半になって、この境地により近づいてきたように感じます。生と死の統合は生きているうちは無理かと思っていたのですが、あるいは実現できるかもしれないと楽しみです。
帯津良一(おびつ・りょういち)/1936年生まれ。東京大学医学部卒。帯津三敬病院名誉院長。人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱。「貝原益軒 養生訓 最後まで生きる極意」(朝日新聞出版)など著書多数。本誌連載をまとめた「ボケないヒント」(祥伝社黄金文庫)が発売中
※週刊朝日 2022年3月18日号