帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
帯津良一(おびつ・りょういち)/帯津三敬病院名誉院長
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 西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「86歳の誕生日」。

*  *  *

【没年齢】ポイント
(1)今年の誕生日は、いつもより多くの人に祝福された
(2)江戸時代の4大養生家のうち3人の没年齢を超えた
(3)死ぬ前に「生と死の統合」を実現できるかもしれない

 先日、86歳の誕生日を迎えました。なぜか今年はいつもより、多くの人たちから祝福されました。

 私の誕生日は2月14日のバレンタインデーの3日後なので、誕生プレゼントにチョコレートをもらうことが多いのですが、今年はどっさり、もらいました。どんどん集まってきて、病院の自室の冷蔵庫が満杯になってしまいました。とりわけ、私が好きなウイスキーボンボンが混じっているのが、うれしいですね。酒好きなのを知られているので、ウイスキーや焼酎、日本酒もいただきます。

 なじみの女性の患者さんが、診察がすんだ途端にカバンを開けて、「これはバレンタインのプレゼント」とウイスキーの「余市」とチョコレートを差し出しました。次に「これは誕生祝い」と、今度はウイスキーの「イチローズモルト」を渡してくれたのです。両方とも私の好みを知ったうえで用意してくれたので、うれしかったですね。そういうやりとりで、ほのぼのとした気持ちになりました。

 なぜ、今年はひときわ、多くの人たちがお祝いしてくださったのでしょうか。やはり、86歳というのは、今の時代でもそれなりに長く生きたということなのかもしれません。

 実は、80代になってから、好きな先人の没年齢が気になりだしたのです。満年齢を計算するのは面倒で、単純に没年から生年を引いているのですが、江戸時代の4大養生家は以下の通りです。

 白隠慧鶴(1686~1769)83歳
 貝原益軒(1630~1714)84歳
 神沢杜口(1710~1795)85歳
 佐藤一斎(1772~1859)87歳

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