※写真はイメージです
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 高口さんの信条は“つないだ手は離さない。一度預かった命は最後まで見届ける”。これまで病院に10年、特養に10年、老健(介護老人保健施設)にも10年間勤めた高口さんは、最もターミナル(看取り)に適した環境は老健と話す。

「老健は常勤の医師もいて、特養や有料老人ホーム、グループホームよりも看護師の数も多い。リハビリして3カ月や半年で家に帰れる人は帰ります。デイサービスやショートステイなどを組み合わせながら、家と施設を行き来する利用もできる。最後までここでいきいきと過ごしたいとケアマネに伝え、それがサービス担当者会議で話し合われ、『ケアプラン』(介護サービス計画書)に書かれて、ご家族が署名同意すれば、それは介護保険法で指定されたその人の介護になるのです。それを逸脱したら法律違反です」

 介護保険法においてはケアプランが保険給付内容(介護サービスの中身)のベースとなる。いわば処方箋(せん)のようなものだ。受ける側はしっかりと本人や家族の意思をケアマネに伝えなければ、適切な介護にはつながらない。

 ここからは、施設を替わる要因となる、三つの主なケースを紹介する。

(1)医療依存度が高くなった

「70歳ぐらいで入居してそのときは健康であっても、生活していくうちに体調は変化し、医療依存度が高くなることは十分にあり得ます」

 こう話すのは東洋大学ライフデザイン学部准教授でケアマネの資格を持つ高野龍昭さん。

「その後90歳になって経管栄養やら看取りの対応などが必要な状態になれば、これまで20年間よい施設だと思って暮らしてきたのに突然暮らせなくなる、ということもあります。このとき初めて、この施設で対応していないと気づくこともあります。介護保険サービスは複雑すぎて一般の人にわかりづらい。特養とグループホームの違いがわからない人も多い。将来的なニーズを見据えてどこが良いのか、それを予測して見極めるのは至難の業です」

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