レゴブロック
を使って議論する「お金の教養講
座」。現在はZoomで開催(提供写真)
レゴブロック を使って議論する「お金の教養講 座」。現在はZoomで開催(提供写真)

「家族中心に動かざるを得なかった修士課程時代、計画は立てても、ぐずぐず必至。それでも諦めずに続けられたのは、一から学んだ統計を用いて、教育社会学に向き合う一日一日に充実感があったから」

 もう一つ、身をもって学んだ。

「どんなに多忙でも、睡眠は絶対に軽視しなくなりました」

 育児との両立で、寝る間もなく時間に追われた苦労が、究極のタイムマネジメントにつながっている人もいる。

 育休後「秒単位で定時までに業務をやり繰りし、処理能力を上げた」と話すのは、東京都江東区在住の女性(51)。エネルギー関連企業に勤務する。最近、30代の後輩男性から、自分と同量の仕事を引き継ぐのは、絶対に不可能だと打ち明けられた。

「事実、職場で誰も手をつけられない仕事を、次々と片付けています」

 もともと勉強好き。子どもから少し手が離れると、スキルアップや趣味を再開。同時に効率的な予定管理に興味がわき、計画や手帳術に関する本なら、20冊以上は読んだ。

 読書も自己投資と考えるこの女性は、読むスピードが上がれば吸収する量もそれだけ増えると考え、3カ月前、満を持して速読の学習を始めた。池袋にある「クリエイト速読スクール」に大学生の長女と、この春から高校生の次女を誘い、入会。スピーディーかつ論理的に情報を処理する能力を鍛えることが、資格などの試験対策にも向いていると聞いたからだ。

■心を整え成果アップ

 学習スピードは子どもたちと比べて断然、緩やか。しかし着実に自分も伸びていると、女性は言う。

「若いときの勉強との違いは、スコアに一喜一憂することなく、自分の成長を長い目で見守れること。焦らないで目標とする技術を習得できれば、かかった時間は無駄にならないはず」

 女性の会社では、在宅勤務を推奨。自宅から余裕を持って教室に通えるため、学び方の選択肢が増えたという。

 しかし一方で「リモートワークになり、より疲弊している」という声も多い。「成果を気にして時間をフル活用し、詰め込みすぎてしまう」というタイプもいる。

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