※写真はイメージです(GettyImages)
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 学び直したい社会人にとって、課題となるのはモチベーションの維持だ。仕事の忙しさを言い訳に勉強をおろそかにしないために、どのような視点を持つが大切なのだろうか。AERA 2022年3月21日号から。

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 身体と心の状態を整えたり、鍛えたりして、勉強のための時間を捻出する人たちは、やりたいことがはっきりしている人が多い。

 しかし明確なゴールがない場合、社会人の勉強で大きな障壁となるのは、モチベーションだ。学生時代と違って、先生や教授から強制されることもなければ、進学のための試験があるわけでもない。

学び直しの入り口

 そんななかで、何を学べばいいかわからない、という人はどういう環境を用意すればいいのだろうか。

「新しいことに挑戦するのは、誰でも抵抗や不安を伴います。つまみ食い的に、気軽に飛び込んでもらえる“学び直しの入り口”になれればと思っています」

 と話すのは、板橋区立企業活性化センターで、セミナーの運営を手掛ける駒林健一さん。データサイエンスやプログラミングといった同施設のオンライン講座は、どれも低価格で初心者向けのものだ。誰でも受講可能で、リピート率も高いという。

「社会人でも大学で学び直すのが一般的な海外と比較すると、日本はその割合が極端に少ない。今後、学ぶ環境が整うことで、社会全体も成長していけばと思っています」(駒林さん)

 ではどんなタイプの人が、限られた時間の中でも学び、モチベーションを維持できるのだろう。ベンチャーを支援する会社の代表でもあり、起業家の成功要因を研究する駒林さんは、こう話す。

「現状のキャリアが順調であっても勉強する人は、積極的に知識を吸収し、専門や関心のある分野を深めていきます。一方で会社に強いられるなど、リスクが顕在化してから動く人は、モチベーションを保ちにくいかもしれません」

時間有限ではかどる

 憧れの仕事を目指し、学んでいる人にも話を聞いた。

 神奈川県川崎市に住む会社員の男性(43)が通うのは、受講生の作家デビューが続く「山村正夫記念小説講座」。教室は東京・渋谷にあるが、コロナ禍になってからはZoomでの受講が可能になり、遠隔地から参加する人も多い。

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