課徴金制度に温度差

 そして最も難航が予想されたのが課徴金制度の基準額だった。課徴金は「ぜいたく税」と呼ばれ、その年の球団総年俸額の基準額を超過した球団に課せられる。戦力均衡と年俸高騰の抑止力になる一方、選手側には年俸を抑えられることに反発があった。MLB側は22年からの2年間は2億1400万ドル(約253億円)で、労使協定の更新を迎える26年に2億2200万ドル(約262億円)まで上げるプランを示したが、選手会の提案は2億4500万ドル(約289億円)。交渉の妥協点が見えなかったが、最終的に合意した。

「課徴金制度については選手間でも温度差がありました。破格な大型契約の恩恵を受けられるのはごく一握りの選手たち。彼らは年俸が抑えられるので反発していましたが、多くの選手にとっては今回の交渉では優先順位が低い案件でした。開幕がこれ以上長引くようだと、所属先が決まっていないフリーエージェント(FA)選手たちの契約問題もあるし、新たにFA権を獲得するための登録日数が1年に満たない恐れも出てくる。MLB側もこれ以上長引いてイメージダウンすることを避けたい。双方が歩み寄った形です。特に課徴金制度は選手会側が大幅に妥協した印象があります」(米国在住の大リーグ担当記者)

 日本人選手たちも新たなスタートを切った。マリナーズからFAとなっていた菊池雄星(30)がブルージェイズに移籍が決まり、大谷翔平(27)はエンゼルスで5年目のシーズンを迎える。広島からポスティングシステムで大リーグ挑戦を目指していた鈴木誠也(27)はカブスと5年契約で合意した。

「菊池や大谷は大リーグで昨年までプレーしているので大きな影響はないでしょう。鈴木は満足な調整期間がないままシーズンに入るので順応するのに少し時間がかかるかもしれません。ただ対応力の高い選手なので、きっちり結果は残すと思います」(スポーツ紙記者)

(ライター・牧忠則)

AERA 2022年3月28日号を一部改変

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