誰にも答えがわからないこういった問題を、自分が知っていることや体験していることを組み合わせて「ざっくり答える」考え方が、フェルミ推定だ。たとえば最初の問題ではこんなふうに考えていく。
――求める長さを出す式は、スパゲティー1人分をつなげた長さ×学校の生徒数になる
――スパゲティー1人分の長さは、スパゲティー1本分の長さ×スパゲティー1人分の本数になる
――スパゲティー1本の長さはだいたい親指から小指くらいまでの長さだから、30センチくらい?
――スパゲティー1人分の本数は、10本だと少ないし1000本は多すぎるから、だいたい100本くらい? そうするとスパゲティー1人分をつなげた長さは3000センチ=30メートルになる?
――1クラスの生徒数はだいたい30人、1学年は3クラスあるからだいたい100人、全校生徒は6学年あるからだいたい600人
――求める長さは、30メートル×600人=18000メートル=18キロメートル。東京からだと、隣の川崎市までの距離だ!
学校の勉強のように正解を探すことだけが目的ではなく、知識や推論を組み合わせて答えのない問題に近づいていくワクワク感を味わえるのが、フェルミ推定だ。横山さんはこのほど出版した『論理的思考力が育つ 10歳からのフェルミ推定』(くもん出版)という本で、子どもでも楽しめるフェルミ推定の問題をたくさん紹介している。
「全校生徒が食べたスパゲティーをつなげてみたら? といった、くだらないけど面白い設定ができるのも、フェルミ推定の魅力です」
子どもと一緒に楽しむには、「国語辞典のページ数は?」といった、答えが調べられるものをテーマにしてフェルミ推定をしてみるのも面白いのではないかと横山さんは語る。
「質問をいくつまでしていい、とか、ヒントを出してあげるとか、いろいろなルールをつくると楽しめるのではないでしょうか」