「できれば好きになってほしいけど……」と親が思う学習科目といえば、算数・数学(理系のみなさんすみません)。実は苦手で……という方も、多いのでは。小さい子どもから大人まで、あらゆる世代に算数や数学の楽しさを伝える“数学のお兄さん”こと、「math channel」代表の横山明日希さんに、子どもと一緒に「算数を楽しむ」コツはないか、聞いてみた。キーワードのひとつは、「フェルミ推定」だ。
* * *
横山さんは代表をつとめる「math channel」で算数の教室や算数イベントを数多く開催し、子どもたちと触れ合ってきた。そのなかで出会ってきた算数や数学が好きな子の特徴は、「日常を『算数』の視点で考えるタイミングが圧倒的に多いことです」と語る。日常触れているものを「これは三角形」「これは円」と図形としてとらえてみたり、数字をみてそのつながりや性質を考えたり。「算数好き」な子は、算数的な思考を日常に取り込んでいるという。
では、どうすればそんな子どもが育つのか。大切なのは「環境づくり」だと横山さんはいう。
「本や図鑑をまわりに並べたり、親が算数に興味をもたせられるような話題を出したり。親が働きかけることで環境をつくることが大事です。子どもが算数に対してポジティブになれる素地をつくるためには、親も子どもと一緒に算数と向き合い、算数で楽しく遊べるような体験を一緒にたくさん重ねることが大切と思います」
横山さんは「幼児さんすうシニアインストラクター」という肩書ももつ。子どもたちが「サイコロ」や「積み木」など、昔からあるおもちゃでの遊びが算数の感覚を育てるという。
「サイコロは転がすたびに上に見える数が違っているとか、積み木を積んでいくとどこかのタイミングで崩れてしまうとか、そういったことが大事な経験になります」
子どもが熱心に遊んでいるとつい、「これとこれを足してみよう」とか「この数字を計算してみよう」と口を出したくなる。