横山さん自身は小さいとき、家にたくさんの図鑑があったことを覚えている。数そのものがもともと好きで、幼稚園の通園バスの中では「1、2、3、4……」とずっと数を数えていた。
「算数が好き、というよりは、日常のなかに算数があるという感覚でしたね」
そのため算数の成績もよかったが、中学に入って一度成績が落ちてしまう。
「みんなと同じように勉強すること自体に疑問を覚えて、宿題も出さなかったんです」
高校に入学し、学校の図書室に足を運んだ横山さんは偶然、大量の数学書が並んだ棚を見かけた。「学校の授業では触れられない『数学』がこんなにあるんだ」ということに衝撃を受けた。暗号論や数学史といった本をジャンルを問わず読んで関心を高め、大学でも数学を専攻し、数学を広める会社を経営するまでになった。
「小さいときにいろいろ図鑑を読んでいたので、『なにかを知ることは、ワクワクすることだ』という素地はあったんだと思います」
(ジュニア編集部・福井洋平)