「伊原さんは(西武時代)一緒にやったこともないのに、何であんな言い方をするんですかね」と気分を害した涌井は「見返してやりたいです」とリベンジを誓う。

 そして同15日、大宮県営球場での西武戦、涌井は地元・西武ファンのブーイングをものともせず、7回を5安打8奪三振の2失点に抑え、シーズン初勝利とともに全12球団勝利の快挙を達成。試合後、同じく西武出身の伊東勤監督から「(伊原監督に)“ざまあ見ろ”って言ってやれ」と声をかけられると、苦笑しながら、ツーショットでウイニングボールを手に記念撮影に収まった。スタンドから再びブーイングが起きたが、勝利とリベンジ実現で最高の気分とあって、逆に応援のように聞こえたかもしれない。

 涌井は楽天移籍1年目の20年7月29日のZOZOマリンでの古巣・ロッテ戦でも、7回1失点で勝ち投手になっている。(文・久保田龍雄)

●プロフィール
久保田龍雄/1960年生まれ。東京都出身。中央大学文学部卒業後、地方紙の記者を経て独立。プロアマ問わず野球を中心に執筆活動を展開している。きめの細かいデータと史実に基づいた考察には定評がある。最新刊は電子書籍プロ野球B級ニュース事件簿2021」(野球文明叢書)。

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