週刊朝日ムック『手術数でわかるいい病院2022』では、全国の病院に対して独自に調査をおこない、病院から得た回答結果をもとに、手術数の多い病院をランキングにして掲載している。また、実際の患者を想定し、その患者がたどる治療選択について、専門の医師に取材してどのような基準で判断をしていくのか解説記事を掲載している。ここでは、「パーキンソン病」の解説を紹介する。

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 高齢化に伴って増加しているパーキンソン病。進行性の神経疾患の1つだ。神経伝達物質のドパミンが不足することで、からだが動きにくくなるなど、さまざまな運動症状が出る。

 最初に気づきやすい症状が、手、足、あごなどのふるえで、じっとしているときに症状が出て、動くとおさまりやすい。片側から始まり、対側にも広がっていく。そのほか、動きだすまでに時間がかかる、歩く速度が遅くなる、筋肉が緊張しつづける、姿勢を保ちにくくなるといった症状がある。

進行するほど、認知症を伴いやすくなる

 最近は、便秘やうつ、嗅覚の低下など、パーキンソン病の非運動症状も注目されている。パーキンソン病の運動症状は、ほかの病気でも起きるため、非運動症状の有無が、パーキンソン病を診断するうえでの目安とされるようになってきた。

 認知症の1つである「レビー小体型認知症」との関わりが深いのも特徴だ。どちらも「レビー小体病」に分類され、パーキンソン病が進行するほど、認知症を伴いやすくなる。一般的にパーキンソン病を発症して1年以内に認知機能の低下がみられると、レビー小体型認知症、それ以降であれば認知症を伴うパーキンソン病と判断される。

 治療の基本は、ドパミンを補充する薬物療法だ。薬によって症状を軽くすることで、長期にわたって自立した日常生活を送ることができる。

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薬で症状を抑えるのが難しくなったら、手術を検討