第34回ABCお笑いグランプリで優勝したジャルジャル=2013年1月27日、大阪市北区の朝日放送

 ジャルジャルがテレビよりも力を入れているのがYouTubeだ。メインのチャンネルである「JARU JARU TOWER」は登録者数131万人。2018年2月からジャルジャルのコントを毎日1本ずつ配信し、今では2000本を超える動画がある。将来的には合計8000本のネタを投稿する予定で、「2039年11月8日にネタのタワーを完成させる」というコンセプトを掲げている。

「年2回の単独ライブのために300本のネタを作ると言われている彼らだから毎日更新できるのであって、ほかの芸人ならまず無理でしょう。今はYouTubeで十分収益があるため、あえてテレビを遠ざけることでコント師としてのブランディングをしていると思いますよ。実際、テレビ離れが加速している今、ジャルジャルのようなテレビサイズではない作り込まれた笑いに魅了される人は非常に増えています。YouTubeではネタが毎日配信されるので、サブスク的な楽しみ方もできます。テレビを見ない若い層からの支持率は絶大です」(前出のプロデューサー)

■サロン会員をコントに出演させる

 加えて、彼らはただYouTubeでネタをやっているわけではない。チャンネルにはさまざまな斬新な仕掛けがあり、視聴者を飽きさせない。放送作家はこう語る。

「2020年に『JARU JARU ISLAND』という別のチャンネルも立ち上げたのですが、こちらはコントで演じたキャラクターにスポットを当てた内容。彼らがやっている有料オンラインサロンの会員と一緒にリモートコントを作ったり、会員自らが出演してジャルジャルとコントするという斬新なチャンネルです。女優ののんやアーティストのYOASOBIら豪華なメンバーとのコラボも話題で、論破王・ひろゆきが出演したコントは神回として伝説になっています。先日、関西のローカル番組でジャルジャルの年収を試算するという企画がありましたが、YouTubeやオンラインサロン、単独ライブなどの合計で約2億円というリアルな数字が紹介されていました。テレビのレギュラー番組がゼロにもかかわらずミリオネアになれたのはお笑い界では異例でしょう」

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ダウンタウンの流れをくまないお笑い