稚内市では一連の事業がストップ。「当面は市の交流事業を見合わせるしかなく、何もできない」(同)。現地事務所の運営には家賃や光熱費もかかるが、現地の銀行に口座があり、当面の資金が枯渇することはないという。「いままで積み上げてきた交流の歴史がある」(同)が、市民の理解を得ないと再開は難しいという。

 北海道も98年にサハリン州と提携したほか、ロシアの極東に位置するハバロフスク地方や沿海地方との交流も進めてきた。今後の交流について、担当者は「なかなか難しい。延期を検討し、様子を見ていく」と話す。

 自治体国際化協会によると、都道府県や市区町村でロシア側と提携する姉妹都市は48件あり、自治体によっては複数の都市と提携している。

 日本とロシアの両国は20~21年を日ロ地域交流年としていたが、コロナ禍の影響で22年末まで延長した。今年1月29日には両国政府がイベントを開催し、林芳正外相は「人と人との交流が信頼関係の基盤」などとあいさつした。

 この日ロ地域交流年を決めたのは、19年の日ロ首脳会談での安倍晋三元首相と、プーチン大統領だ。その一方の当事者がウクライナ侵攻で、交流事業を停止に追い込んだのは、皮肉としか言いようがない。(本誌・浅井秀樹)

週刊朝日  2022年4月8日号

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