その理由について、同研究所の坂本貴志研究員は「本来は生産性向上によって報酬を維持する形態が望ましいですが、日本企業の場合、多くは週労働日数を減らせば、その分給与も下がります。収入が減っても幸福度が上昇するのは、本来もう少し余暇に重きをおきたいにもかかわらず、正規雇用だと労働日数が硬直的で自由に選択できていない状況を示唆しています」と話す。

 とはいえ、ただでさえ人手が足りない状況で、休日増に尻込みする会社は多いはずだ。だが、坂本さんは「人材確保の効果も期待できます」と言う。

「労働条件が厳しく、若者に敬遠されている業種や業界ほど、週休3日制の導入によって人材の確保や定着の効果は高いと思います。週4日勤務が広がれば、シニアの働き手も増え、国全体の労働力が増すシナリオも描けます」

 坂本さんは「業界や消費者を含む社会全体の理解も重要」と言う。

「1社だけが週休3日を導入すると、同業他社にシェアを奪われてしまいます。売り上げを担保するには業界全体で進める必要があります。消費者も便利さのみを追求するのではなく、本当に維持してもらいたいサービスは何かを考え、社会全体の仕組みを変えていく必要があります」

 前出の村田さんは、「働くことのスタンダード」が変わる日は近いかもしれない、と言う。「人材獲得にテレワークは必須と言われていますが、それと同様に、自分の裁量で休みが取りやすい企業は好まれています。働き方は人それぞれです。育児や介護といったライフイベントがあるときに活用し、区切りがつけば元の働き方に戻る、といった柔軟な働き方に対応する制度の一つとしても週休3日制は有効です」

(編集部・渡辺豪)

AERA 2022年4月11日号

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