ニューノーマルの働き方として世界的に注目されているのが週休3日制だ。先行して導入した企業からは、社員のモチベーションが上がり、生産性もアップしたと好評だ。その効果について探った。AERA 2022年4月11日号の記事から紹介する。
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パナソニックの楠見雄規社長は1月6日、「選択的週休3日制」の導入検討を明らかにした。同社は1965年、日本で初めて「週5日制勤務」を採り入れたことで知られる。新制度の詳細は今後詰めるが、多様な働き方に対応して従業員のワーク・ライフ・バランス(WLB)を向上させ、副業や自己学習などを推奨する狙いだ。
金融業界では、みずほフィナンシャルグループが先を行く。2020年12月に「週休3~4日勤務制度(短日勤務制度)」を導入。グローバル人事業務部の大坪恭佑調査役は「コロナ禍で通常と異なる働き方を余儀なくされたことが、『働く』ことを改めて見つめ直すきっかけになりました」と話す。
「半ば強制的にリモートワークや交代勤務等を行う中で、出社する人員も抑制するなど大変な状況でしたが、社員同士で助け合いながら業務を運営できたと思っています。その経験から、これまでのやり方にとらわれず、生産性向上や企業活力向上を実現するため、社員が自ら働く場所や時間を選ぶことが重要という考えのもと、週休3~4日勤務制度の導入を決定しました」
週休4日まで認めると、週の過半が休みになる。業務運営などへの影響も想定されるが、大坪さんは「メリットの方が大きいと考えている」と言う。
「働く人の就業感が『就社』から『就職』へ変わる中で、会社としては社内外で通用する人材バリューを高めることを推進しており、社員一人ひとりの自律的な挑戦を実現するためにも、多様な働き方・働きやすい職場づくりが重要だと考えているからです」
■「土日プラスもう一日」で社員はいきいき働ける
制度はグループの銀行や証券会社に勤務する約4万5千人の全社員が対象。土日に加えて毎週決まった曜日を休みとする。事前に上司に伝えて承認を得るなどのルールはあるが、細かな制約はなく、個人の希望で取得できる。
ただ、勤務時間の減少に伴い、給与は週休3日だと従来の8割、週休4日だと6割の水準に減る。制度を活用している社員の世代別の傾向は、20代は自分磨きのために大学院などに通う人が多く、30~40代は育児、40~50代は親の介護や自身の通院といったケースが多い。とはいえ個人によって働き方のニーズは様々だ。大坪さんは言う。